プロローグ


雪が降る季節、外はとても寒い。
とある町の一角に段ボール箱に詰められた捨て猫が三匹、お腹をすかせて泣いていた。これが人間だ。
要らなくなってしまえば、必要なくなってしまえば捨ててしまえばいい。それが人間が考える嫌な構成だ。僕もその内の1人、最終的には僕だって人間なんだ。
 だけど、僕はその人間達に入りたくなかった。
それは…1人の少女が生きたという証、この世界で立派に命の鼓動を打った証でもある。僕の腕に光る一つの時計、それこそが証だった。
「………。」
僕は黙って捨て猫を見つめていた、お腹がすいている猫は僕の存在に気付くとニャーニャーと可愛い声で泣いてくれる。
でもそれが僕には痛かった。
 僕は、その場で猫を持ち帰り、そっと育てる事が一番良い事だと思った。しかし、僕の家はアパート、勿論動物禁止のアパートだ。
考えている最中でも子猫は弱々しい声で泣く。
結局僕はまた、命を救う事は出来なかった。
 翌日、とても寒かった。息が白い、外を見ると白い雪が深々と降り注いでいる。
「…雪。」
そこで僕はがばっと起きあがった、そう…昨日の猫の事だ
。  慌てて靴を履き、全力で捨て猫がいた場所へと走る。途中何度か雪に足を取られて転ぶ物の、すぐに起きあがりまた走り出した。
 猫が入っていた段ボール箱の中には何もなかった。きっと誰か心優しい人が拾っていったのだろう。
「…生きてる。」
僕は呟いた、そっと…誰にも聞こえないほど弱々しい声で呟いた。
「…生きてるんだ…生きてるんだよ…なぁ、聞いてくれよ七海!」
 そばに誰かが居る様子はない、だけど…僕は誰かに聞こえるような声で叫んだ…。

誰かがではなくて、僕がやるんだ。
終わりがあるのならば、きっと始まりもある…
FINE-D.C.-

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